本音と建前 日本語のロジック、英語のロジック

今回はダルビッシュ選手の会見とインタビューで見えてくるロジックの違いについて書きます。

先ず、英語は論理的で日本語は非論理的というものは意味が無いので書きません。

日本語の世界は中庸です。縦軸の真ん中のイメージです。
英語の世界は上へ上へです。真ん中よりも上へです。


ダルビッシュ選手の会見やインタビューを読むと、いかにも日本人だなぁというのが第一印象です。
彼の発言は英語に訳せますがそれは英語の世界ではちょっと変なんですよね。
通訳の問題とかいう人もありますが、それは合っているとも間違っているともいえます。


日本語は謙遜、自分を抑え目にあるいは低くして相手を高めるということがあります。
日本人ならこの感覚が分かりますが、アメリカ人にとっては不可解です。
ダルビッシュ選手はインタビューでの受け答えはなるべく正確に話そうとしているようです。
この正確に、という意味は「リップサービスとして」ではなく「可能な限り客観的に」という意味です。


さて、英語ではとにかく自分をアピールしなければなりません。
よく自信があるところを見せろと言われます。
つまりより上に位置するように努力すべきという圧力が掛かります。
英語ネイティブスピーカー自身も、実は好きじゃないという人がいます。


入団会見ではアメリカ流と言えないものの彼の性格のためなんとかうまく行ったように見えました。
ただし、ダルビッシュ選手のオープン戦後のインタビューの後で揉めました。
打たれたという事実の受け止めとそれに伴う相手への賞賛がなかったことです。
相手をリスペクトしていないんじゃないかというものです。


ダルビッシュ選手の感覚がどうであったかは分かりません。
本人にとっては見下しているわけではない筈ですが、なぜこんなことが起きたのでしょうか?


理由は「リスペクト」、「リップサービス」にあります。
この2つはもちろんイコールではありません。
しかし敬意を払っているのならそれを言葉にすべきという暗黙の了解があります。
なんとか探し出すのです。
無くてもそれを表現するところから「リップサービス」が生まれます。


実際に「リスペクト」なのか「リップサービス」なのかの判断は意外と簡単ではないと思います。
「リップサービス」即ちお世辞であり建前であり場合によってはでっち上げです。
何か感想を聞かれたときには直ぐに相手の良いところを言うという訓練が必要です。


英語の世界は上へ上へです。真ん中よりも上へです。
というのは、「自分自身を持ち上げる。が、相手も持ち上げる必要がある。」ということです。
これが基本的な作法でありいわゆる社交辞令になります。


初めから見下している相手や利益にならない相手は持ち上げることはしません。
また、「リップサービス」ですから相手が目の前から居なくなれば何を言うかは分かりません。
人間ですから疲れるのでしょう。


ということで英語は客観的だという表現は間違いであることが分かります。
どうしても上記のようにバイアスが掛かるのです。
ダルビッシュ選手の場合、彼にとって真実がなんであるかは問題でなくなります。
彼は正直に発言したと思いますが、それが災いしたのでしょう。


なるべく真ん中というロジックと、自分も相手も上にというロジックとの違いが見えてきます。
このようなことは英語学習では説明されません。
あっても、そのやり方は変だとかこうしろというものでしょう。


ダルビッシュ投手の場合は、インタビュー後もより分析的に正確に表現しようとしていたようです。
しかし彼らのロジックとしては正確さよりも相手への賞賛が必要だということです。
直ぐに分析と正確な表現を探すことを中止して相手を褒め称えるべきだったのです。
もちろん日本人としてはそれは気持ち悪いと思うところがあるかもしれません。


ここで「英語」という言葉を使いましたがアメリカ英語の世界ではそれが強いということです。
アメリカ英語の世界ではそういうことがあるので注意しましょうということです。


ただ英語はアメリカ英語だけではありません。
他と比べてよりグローバルな言語なのです。
そういった広く通用する言語の習得のお手伝いを僅かなりともできればと思っています。
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